髪の毛をといた後のクシにからまっている髪の毛を見て「抜け毛がひどい……」と思ったことはありませんか?もし髪の間から短い毛がピンピンはねているようなら、クシにからんでいるのは切れ毛の可能性があります。どうして髪の毛が途中から切れてしまうのでしょうか。髪の毛が切れてしまう原因と対策について紹介します。
髪の毛が切れる原因
切れ毛は髪の傷みが原因で起こるトラブルのひとつです。髪にダメージを与える要因にはどのようなものがあるのでしょうか。
パーマやヘアカラーによるダメージ
パーマやヘアカラーを繰り返すと、髪の外側にあるウロコ状に並んだキューティクルが、めくれたり剥がれたりして乱れます。そして、薬剤が髪の内部にまで浸透することで、タンパク質が変形し髪の繊維同士が切れてしまいやすくなります。
そうなると、シャンプーするだけでも髪内部のタンパク質や脂質が外に流れ出て、髪内部の空洞化がどんどん進み、切れ毛や枝毛になりやすい髪になってしまうのです。
紫外線やドライヤーの熱による乾燥
体の中で一番紫外線にさらされているのが頭です。髪が紫外線の影響を強く受けると、キューティクルを構成するタンパク質が変性し、キューティクルが剥がれやすくなってしまいます。
また、ドライヤーで髪を乾燥させる際に、同じ場所にドライヤーを当て続けると髪の表面温度が100度以上になり、髪の内部のタンパク質や脂質が変性して大きなダメージを受けてしまうのです。紫外線やドライヤーの熱によって髪内部の水分が蒸発し、内部が空洞化することで切れ毛や枝毛ができやすい髪質になると考えられています。
髪の毛に必要な栄養の不足
体の一部でもある髪の毛は、食べたもので作られます。そのため、ファストフードやインスタント食品など偏った食事を続けていると、髪の成長に必要な栄養が不足しがちになります。また、脂質や糖質を摂りすぎると、頭皮の皮脂が過剰に分泌されて頭皮環境が悪化する恐れもあります。
さらに、極端なダイエットによる栄養不足にも注意が必要です。体に摂り入れられた栄養素は生命維持に大切な臓器などを優先して配られるため、栄養不足の状態では頭皮まで栄養が回らず、コシのない細い髪の毛になってしまうこともあるのです。
髪の毛が切れるのを防ぐための対策方法
切れ毛になりやすい状態は、髪のケア方法や生活習慣を変えることによって改善を期待できます。今からでも始められる切れ毛に効果的な対策をいくつか紹介します。
髪の傷みを防ぐヘアケア
シャンプーはヘアケアの基本です。髪をダメージから守るためにも正しいシャンプー方法を身につけましょう。
<シャンプー方法>
① シャンプーをする前に頭皮や髪の毛の汚れやホコリ、もつれを取り除くためにブラッシングをします。髪に余計な摩擦を与えないようにやさしく髪を毛先からほどくように丁寧にブラッシングしてください。
② ブラッシングで浮かせた汚れやホコリを洗い落とすため、お湯でしっかり予洗いをします。
③ シャンプーを手のひらに広げてしっかりと泡立ててから、指の腹を使ってマッサージしながら頭皮を洗います。洗い残しがないように、襟足や耳の後ろなどにも注意しながら、「いつもより1分長く」を意識しながらしっかりとシャンプーを洗い流しましょう。
④ トリートメント、コンディショナーは地肌に直接つけないように注意して、毛先を中心に髪にやさしく揉みこみます。その後、流し残しがないよう、十分にすすぎましょう。
紫外線対策
紫外線から髪と頭皮を守るためには、帽子や日傘などの日焼け防止グッズを活用して、直接紫外線を浴びない工夫をすることが大切です。これに加えて、髪用の日焼け止めを使えば万全です。
海水浴など帽子や日傘が使えない場面では、髪用の日焼け止めを利用しましょう。その際には、頭皮までしっかり日焼け止めを塗るようにしてください。
紫外線を長時間浴びたようなときには、ダメージを補修してくれるトリートメントなどでしっかり髪にうるおいを補うようにしてください。
食生活の改善
切れ毛のケアには、食生活の改善も欠かせません。髪の約90%はタンパク質でできており、他にもミネラルやビタミンなど多くの栄養素が髪を作っています。こまめな水分補給で代謝を活発にし、肉・魚などのタンパク質と、ビタミンやミネラルが豊富な野菜・穀物などをバランスよく食べるようにしましょう。
切れ毛を防ぐシャンプーの選び方
切れ毛で悩む方にとって毎日使うシャンプー選びはとても大切です。さまざまな種類があるシャンプーの中でも、特に切れ毛に効果的なシャンプーの選び方についてご紹介します。
ダメージ軽減効果で選ぶ
「切れ毛になっている=髪にダメージがある状態」のため、ダメージ軽減効果のあるシリコンが配合されたシャンプーやコンディショナーを使うとよいでしょう。シリコンは洗髪中のきしみを抑えつつ、指通りを滑らかにしてくれます。さらに、摩擦を抑えて髪にツヤを与えてくれる効果が期待できるため、ダメージによるパサつきやゴワつきのある髪を、美しいツヤのある髪によみがえらせてくれるでしょう。
洗浄力の強さで選ぶ
洗浄力が強いシャンプーを使ってしまうと、必要な頭皮の皮脂まで洗い流してしまいます。髪の乾燥などトラブルの原因になるため、低刺激で頭皮にやさしいアミノ酸系シャンプーが効果的です。このシャンプーは髪の毛のダメージに浸透して保湿してくれる働きもあるため、頭皮と髪の両方のダメージをケアできます。
乾燥を防ぐ保湿成分で選ぶ
アミノ酸系シャンプーに多く含まれている洗浄成分(界面活性剤)には、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルアラニンTEA、ラウラミノプロピオン酸Naなどがあります。
また、セラミド3、ヒアルロン酸、コラーゲン、アミノ酸(アルギニン、タウリン、イソロイシン、ロイシン、チロシンなど)、グリセリンなどの保湿成分が入ったシャンプーもおすすめです。製品の裏側などに記載されている成分表で確認してから購入するとよいでしょう。
まとめ
髪の毛は肌などとは違い自己修復能力が備わっていません。切れ毛があるということは、髪がダメージを受けてしまっているということです。食事など体の内側からのケアと、やさしく洗い上げて保湿もしてくれるシャンプーなど外側からケアの両方が大切です。切れ毛がなく、ハリ、ツヤのある髪を取りもどすためにも、栄養バランスの取れた食事や正しいシャンプーを心掛けましょう。
- この記事の監修専門家
- 毛髪診断士
江波戸 恵美