健康的な髪にはハリやコシがあると表現されますが、髪のハリやコシがあるとは、一体どのような状態なのでしょうか。
また、髪のハリやコシを保つためにはどのようなことに気をつければいいのか、今回は女性のぺたんこ髪の対策について解説していきます。
髪にハリ・コシがある状態とは
一般的に、髪のハリとは、髪の毛を強く引っ張ったときに、どのくらいまで耐えられるかという耐性を指しています。髪のコシとは、弾力のことを指しています。
指に髪の毛を巻き付け離したときに、くるくると元の状態にもどればコシのある髪といえるでしょう。
髪のハリ・コシがなくなる原因
髪にハリやコシがなくなる原因には、紫外線や加齢などがあげられます。いくつか詳しく紹介していきましょう。
紫外線による影響
紫外線にあたると、髪の毛や頭皮はダメージを受け、髪の表面を保護しているキューティクルが、はがれやすくなります。すると髪の毛の内部の水分は減少し、枝毛や切れ毛の原因となってしまいます。
また、紫外線を浴びることで発生する活性酸素が、毛髪の主成分であるケラチン(タンパク質の一種)を劣化させて、髪の毛はしなやかさやツヤを失っていきます。
加齢による女性ホルモンの減少
女性ホルモンのエストロゲンは加齢により減少し、頭皮の毛母細胞で髪が十分に育たなくなり、細くてハリやコシのない髪が増えます。そのため、髪のボリュームが減ったり、くせ毛っぽくなったりするのです。
頭皮の血行不良
髪は頭皮内の、毛根の毛母細胞に運ばれる栄養成分によって育っています。頭皮の血行不良は、毛母細胞まで栄養が行き届かなくなる原因となり、抜け毛も増えるたり、産毛のような弱い毛になったりする可能性があります。
血行不良が起こるのは、ストレスや栄養不足、睡眠不足などが原因です。
睡眠不足
睡眠中には、育毛を促進する成長ホルモンが分泌されています。睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌量が減少し、頭皮や髪が乾燥するため、切れ毛や枝毛になりやすくなります。
ハリやコシにおすすめのシャンプーの選び方
髪のハリやコシを維持するには、どのようなシャンプーを選べばよいのでしょうか。
シャンプーには、含まれる界面活性剤によって
○アミノ酸系
○石けん系
○高級アルコール系
に分類されます。毛髪はケラチンという、十数種類のアミノ酸が結合したタンパク質で構成されているため、毛髪の主成分と同じであるアミノ酸系のシャンプーを選ぶのがおすすめです。
洗浄力の強い、石油由来の界面活性剤を使用したシャンプーと比べ、アミノ酸成分の入ったシャンプーは、髪や頭皮への刺激が少ないのが特徴です。
また、必要な皮脂まで落としすぎず、頭皮環境を良好に保つことで、ハリやコシが出てくる効果も期待できます。
シャンプーを選ぶ際は、以下であげるようなアミノ酸系洗浄成分が含まれているかを確認しましょう。また、成分表示の表示順は、含有量が多く配合されている順に書かれているので、アミノ酸系洗浄成分が上位にあるかもチェックしましょう。
メチルアラニン系
ラウロイルメチルアラニンNa、ラウロイルアスパラギン酸が含まれるシャンプーです。髪や頭皮にもマイルドで、やさしく洗い上げてくれます。デメリットは高価になってしまう点ですが、メチルアラニン系とココイル系やベタイン系を組み合わせた配合のシャンプーは、価格的にも手ごろで人気があるようです。
ベタイン系
ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインが含まれるシャンプーは、ベタイン系と呼ばれます。保湿力が高い弱酸性の成分なので、しっとりとした洗い上がりが特徴です。洗浄力や泡立ちは弱めです。
ココイル系
ココイルグルタミン酸、ココイルメチルタウリンNa、ココイルアラニンTEAが含まれるシャンプーです。髪や頭皮にやさしい使い心地が特徴です。
髪のハリやコシを出すシャンプー方法
数あるアミノ酸系シャンプーの中から、自分に合う成分が配合されているものを選んだら、正しいシャンプーの方法も試してみてください。
アミノ酸系シャンプーは、高級アルコール系シャンプーや石けん系シャンプーと比べると、洗浄力が劣る場合があります。
洗い方を変えて、頭皮や髪の根元につまりやすい余分な皮脂汚れを、しっかりと落とすように洗う必要があります。
自宅で簡単にできる、髪のハリやコシを出すシャンプーの方法について、詳しくみていきましょう。
1.シャワーの温度は38度くらいのぬるめに設定。頭皮全体をまんべんなく濡らして、予洗いする。シャンプー液はつけずに丁寧に流していきます。
2.手のひらに適量のシャンプーを取ります。両手をこすり合わせて軽く泡立ててから、髪の根元全体につけ、円を描くように指の腹を使い、洗っていきます。
3.シャワーを頭皮に当てながら、丁寧に流していきます。すすぎ残しがあると、ベタつきや頭皮トラブルの原因になります。少なくとも1分以上はすすぎましょう。
4.トリートメントやコンディショナーをつける場合は、地肌よりも毛先中心につけていきましょう。
5.シャワーを頭皮全体に、しっかりと行き渡るようにして丁寧にすすぎます。
髪を洗うときは、指の腹部分を使い、小刻みに軽く揉み洗いするように意識しましょう。決して爪を立てたり、ゴシゴシこすったりしないようにしてください。また髪や地肌を濡れたままにすると、菌が繁殖しやすくなるので、タオルドライのあとは時間を置かずに、ドライヤーで地肌から乾かすようにしましょう。
紫外線対策
髪へダメージを与える紫外線には、どのような対策を行うといいのでしょうか。髪への紫外線は、顔に比べると2倍近くの量を浴びているといわれています。
髪の毛は日焼けすることによって、キューティクルがダメージを受け、枝毛や切れが増加することも。メラニン色素が破壊されることで、髪の色が赤茶けて見えるようになります。他にも、髪の健康を保つために必要な、タンパク質とシスチンの結合を、紫外線が分解してしまいます。
紫外線によるダメージを防ぐには、紫外線を浴びすぎないように工夫し、浴びてしまった後のすみやかなアフターケアが効果を発揮します。
日中の10時から14時は、紫外線の強い時間帯なので、外出の際は日傘や帽子を被るなど、紫外線対策をして出かけるようにしましょう。
規則正しい生活習慣を
髪や頭皮の健康を保つには、睡眠や食事など生活習慣にも気をつけたいところです。
○深夜まで夜ふかしして寝不足が続く
○過度のストレスを感じている
○食事制限ダイエットによる栄養の偏り
などが原因で血行不良になることも。毛母細胞へきちんと栄養を届けることができなくなってしまうと、髪の毛の生育が中途半端になり、簡単に抜け落ちてしまいます。ハリやコシのあるつややかな髪を育てるには、規則正しい生活習慣や、栄養のバランスを意識することが大切です。
頭皮マッサージ
頭皮マッサージも頭皮環境を整える方法の一つです。自分で簡単に行えるので、ぜひ、取り入れてみましょう。行うタイミングはシャンプー前がおすすめです。
1.乾いた頭皮に両手の指の腹をあて、小さな円を描くようにくるくるとマッサージしていきます。
2.指先で軽くポンポンと頭皮全体をまんべんなく、リズミカルに軽く叩いていきます。
3.頭の頭頂部にある百会(ひゃくえ)のツボ。ここに両手の人差し指と中指を置いて、ゆっくりと押しましょう。
4.首の後ろの大きな筋肉の外側にあるくぼみが天柱(てんちゅう)のツボ。左右にあるので、両手の親指を使って、揉みながらゆっくりと押しましょう。
5.さらに天柱から指1本分外側の、頭の骨と首の付け根にあるくぼんだ部分が風池(ふうち)のツボ。ここも同様に親指でゆっくりと指圧していきます。
まとめ
髪のハリやコシを保つ方法について、おすすめのシャンプー選びや正しい洗髪方法、また生活習慣におけるヘアケアを紹介しました。ハリやコシのある髪を目指すために、まずは少しずつでも取り組めるところから改善していきましょう。
- この記事の監修専門家
- エステティシャン、スキンケアマイスター、毛髪診断士、サロンオーナー
山口 史恵