フケには脂性のものと乾性のもの、大きく2種類に分けられています。それぞれの特徴や発生原因は違うため、自分の状態がどちらなのか、原因は何なのかをよく見極めながら判断しましょう。ここでは、フケが大量発生してしまう原因や対策方法をご紹介します。
フケ対策はフケの種類を知ってから
ブラッシングの後にフケが服の肩部分に積もっている、髪を触っただけで大量のフケが落ちる、フケのかたまりが大きいなど、異常なフケがみられるときには、頭皮のトラブルを疑ってみましょう。フケの量はそれほどでなくても、かゆみが強い、赤みがあるなども注意が必要です。そのまま放置していると抜け毛や薄毛を招いてしまう恐れもあります。
フケは、その見た目によって脂性フケと乾性フケの2種類に大きく分けることができます。
脂性フケ
頭皮や髪の毛の間などにこびりついている白っぽいべたつくかたまり
乾性フケ
パラパラと肩などにつく粉のように乾燥した白いもの
脂性フケとは
頭皮の皮脂分泌が多めの人に、起こりやすい症状です。女性よりも男性のほうが脂性フケになりやすいようです。皮脂が増加してしまう原因は、以下のように考えられます。
○生まれつきの体質によるもの
○ビタミンB群や亜鉛などのミネラル不足
○糖分や炭水化物の摂りすぎ
○動物性脂肪・コレステロールの摂りすぎ
○生活習慣の乱れやストレス
他には、頭皮の炎症に「脂漏性皮膚炎」も角質のかたまりが、フケのように目立って見え、赤みや痒みも伴います。脂漏性皮膚炎はホルモンバランスの乱れや、さまざまな要因で皮脂が過剰分泌され、常在菌であるマラセチア菌が、炎症を起こします。
そのほかにもシャンプーが合わない、間違った洗い方、また1日1回以上の過剰な洗髪頻度も、かえって頭皮の皮脂分泌が過剰になり、脂性フケを招く場合があります。脂性フケの場合は、1日1回程度洗うといいでしょう。
乾性フケとは
乾性フケは頭皮が水分不足で、乾燥してしまうことが原因で起こります。乾燥肌のように、皮膚のはがれや頭皮の肌荒れによって、かゆみを伴うこともあります。遺伝的体質で皮脂の分泌が少ない場合のほかにも、いろいろな原因が考えられます。
○食生活の偏りによるビタミン不足
○生活習慣の乱れ
○ストレス
○パーマやヘアカラーなどの刺激による接触皮膚炎
○合わないシャンプーや間違った洗い方
○遺伝的な体質や病気によるもの
しっかり洗っているのに出るフケの原因とは
フケは肌の新陳代謝(細胞の生まれ変わり)によって剥がれ落ちた角質なので、健康な状態でも多少のフケはあるものです。しかし、大量のフケが発生するには原因があります。脂性フケと乾性フケの違いによってその原因も異なっています。
過剰なシャンプー
フケで悩む人の多くは、清潔にすればいいと1日に何度も洗髪したり、丁寧に皮脂汚れを取ろうと入念に洗いすぎたりする傾向があります。頭皮の乾燥が原因の乾性フケにとっては、洗いすぎが逆効果になりかねません。
シャンプーに含まれている界面活性剤の洗浄成分によって、頭皮の潤いを保護する皮脂を取りすぎてしまうのです。頭皮の潤いを守るためには、洗髪は1日に1回程度にとどめましょう。
特に乾性フケの症状がある場合、洗浄力の強い高級アルコール系のシャンプーは、使用を控えたほうがいいでしょう。アミノ酸系シャンプーは、髪や頭皮への刺激が少なく肌に優しいのでおすすめです。
パーマやカラーリングによる頭皮への刺激
パーマやヘアカラーの薬剤は刺激が強いため、頭皮に負担をかけてしまうことも。頭皮の状態が気になる方は、低刺激なパーマ液やヘアカラー剤を施術するヘアサロンを選びましょう。
季節による環境の変化
冬になると肌の乾燥が気になるように、肌の一部である頭皮も同じように、やはり乾燥しやすい状態になってしまいます。頭皮の乾燥を放っておくと、かゆみやフケなどが起こりやすいので、頭皮の保湿ケアを取り入れていきましょう。
頭皮の保湿には以下の成分がおすすめです。
○ホホバオイル
○椿油
○馬油
○あんず油
用量を守り、ベタつかないように少しずつなじませましょう。その際は、体質に合ったものを選ぶようにします。
偏った食生活
酸性に傾いてしまった頭皮を本来の弱酸性に保つために、ビタミン類、ミネラルや、抗酸化作用のあるポリフェノールやリコピンなどの、ファイトケミカルの摂取を心がけましょう。逆に炭水化物や脂質の多い、インスタント食品やジャンクフードを過剰に摂取しないようにします。
かゆみをともなう大量のフケは脂漏性皮膚炎の可能性も
角質のかたまりが大きいフケのように目立ち、強いかゆみや赤みを伴う「脂漏性皮膚炎」。常在菌のマラセチア菌が皮脂を餌とし、皮脂分泌が過剰な箇所で炎症を起こします。原因は遺伝的なものや、ストレスなどと考えられています。かゆみが強いからと掻きむしると、症状はさらに悪化してしまうこともあるので注意が必要です。
脂性フケを予防する対策
正しいシャンプー方法
脂性フケの症状なら、寝る前にシャンプーを行うと効果的です。その日分泌された皮脂を、夜に入浴して洗い流すことで、頭皮を清潔にできます。マラセチア菌の増殖による脂漏性皮膚炎の場合は、抗真菌作用を持つシャンプーを選ぶのがおすすめです。治療に適したシャンプーがが、皮膚科やクリニックで処方されています。
髪を濡れたままにしない
洗髪後に濡れたまま自然乾燥で乾かすと、湿度が高く雑菌が繁殖しやすい状況となってしまうため、ドライヤーでしっかりと頭皮と髪を乾かすようにしましょう。
食事と生活習慣を整える
栄養の偏りが、皮脂の過剰分泌を招くこともあります。栄養バランスの良い食生活のために肉や魚、野菜、発酵食品などをバランスよく食べるようにしましょう。また、糖質や脂質の取りすぎにも、気を付けるようにしましょう。また、頭皮の新陳代謝を整えるために、以下のように生活習慣を見直すことも大切です。
○ストレスをためないようにする
○適度な運動を取り入れる
○睡眠をしっかりとる
乾性フケを予防する対策
紫外線を避ける
紫外線は頭皮の乾燥を招く原因のひとつ。乾性フケの予防には、紫外線を避けることも重要です。外出時には帽子を着用しましょう。また、UVカット効果のあるヘアケアアイテムを使用することもおすすめです。
シャンプーはアミノ酸系
乾性フケの場合は、高級アルコール系シャンプーによる皮脂の過剰な除去によって、頭皮の乾燥を招いてしまうことも。皮膚や髪の毛に優しい洗浄成分で作られている、アミノ酸系シャンプーを使って、優しく洗うことをおすすめします。その場合でも洗髪回数は1日1回までとしましょう。
パーマやヘアカラーの薬剤選び
パーマやヘアカラーの薬剤の刺激によって、頭皮の炎症や乾燥、湿疹などが起こることもあります。頭皮の状態が良くないときは施術を控えましょう。気になる場合は、刺激の少ないタイプの薬剤を選んでもらうように、美容師に事前に相談をしましょう。少しでも染みる、痛みを感じる場合はすぐに中止してもらいましょう。
フケやかゆみがおさまらないときは皮膚科へ
フケの量が多くなった、フケのかたまりが大きい、かゆみが強く我慢できない、1か月以上長引くという場合には専門の医師やクリニックなどで診察を受けましょう。
皮膚科でのフケやかゆみの治療方法
皮膚科やヘアクリニックでは、頭皮やフケの状態、かゆみや痛みの症状から原因を特定し、さまざまな種類の中から症状に合わせて薬を処方します。
保険の適用について
シャンプーや生活習慣、食事などの改善を行っても、フケの症状が治まらない場合は、皮膚科に相談しましょう。人に感染するアタマジラミなどの場合は、皮膚科など専門の医師に相談し、早めに適切な処置を仰ぎましょう。保険診療に「フケ・かゆみ」を明示しているクリニックでは保険が適用され、適切な治療が行われます。また、美容皮膚科などでは、ヘアケアの一環として薄毛治療なども自由診療で対応しているところもあります。
まとめ
フケが大量に発生する原因はいろいろとありますが、フケの状態によっても、その対処法が間違っている場合もあります。フケを発生させている原因の見極めが大切です。自分にあったシャンプーで頭皮の清潔を保ち、食事や生活習慣の改善などを行っても、改善が見られないような場合には、専門の医師に相談するのをおすすめします。
- この記事の監修ドクター
- 吉井クリニック 院長
吉井 友季子