抜け毛・薄毛の対策と頭皮ケア

洗ってもすぐベタベタに!頭皮の脂をコントロールする方法とは

頭皮のケア方法

「毎日きちんと洗っているのに、すぐ皮脂が出てきてべたつく」という悩みを抱える男性は少なくないのでは?どんなに身だしなみに気を遣っていても、ギトギトした髪の毛やオイリーな臭いは清潔感に欠ける印象を与えてしまいますよね。頭皮の脂を抑えるには、どうすればよいのでしょうか。

 

メンズと皮脂とは切り離せない関係?

皮脂は男女とも思春期に増え始め、加齢による皮脂腺の機能低下とともに下降します。女性の皮脂分泌量は年齢とともに急激な下降線を描いていきますが、男性は比較的緩やかとされています[1]。

皮脂の多さは食生活や生活習慣の乱れ、ストレスなどが影響していますが、なかでもテストステロンなど男性ホルモンの働きが大きく関わっています。こうしたことから、皮脂の悩みは女性よりも男性で顕著であるといえそうです。

 

多すぎる皮脂はこんな頭皮トラブルに

皮脂には、頭皮表面を覆って外的刺激から守る働き、髪の表面をコーティングしてなめらかにする働きなどがあります。しかし、多すぎるとこんな問題に発展することも。

 

ベタつき・ボリュームダウン

頭皮で分泌された皮脂は、時間の経過とともに毛髪に移行します。このため髪までべたつき、毛髪同士が密着することでボリュームダウンして見えることがあります。

 

臭い

過剰に分泌された皮脂が雑菌によって分解される、または酸化することで、臭いの原因になることがあります。

 

毛穴詰まり

皮脂の分泌腺は毛穴の奥にあります。そのため、皮脂が毛穴を詰まらせるとニキビの原因に。また、皮脂が多いことで髪の成長に影響が出ることも考えられます。

 

フケ・かゆみ

頭皮には、皮脂を好む常在菌(マラセチア菌)がいます。皮脂をエサに増殖すると頭皮に炎症を起こし、ベタベタとしたフケやかゆみを引き起こすことも。頭皮の炎症は、抜け毛・薄毛を引き起こしかねないので、マラセチア菌の増殖には注意が必要です。

このように多すぎると頭皮トラブルを引き起こしかねない皮脂。どのようにコントロールすればよいのでしょうか。

 

頭皮の脂をコントロールするヘアケア方法

皮脂が多いときは、洗浄力の高いシャンプーを使ってすっきり洗い上げたいもの。でも、その方法が逆効果になっている可能性があるのをご存知ですか?

皮脂は皮膚の乾燥を防ぐための重要な働きを持っています。そのため、皮脂を落としすぎると頭皮は乾燥しやすくなります。そこで皮膚は乾燥状態を防ごうとして、さらに皮脂を分泌する場合があります。落とすばかりでなく「皮脂を適度に残しながら洗う」ことも意識してみましょう。

 

シャンプーの選び方

シャンプーは配合されている界面活性剤により、洗浄力が異なります。パッケージ裏の成分表示をチェックしてみましょう。

「ラウリル硫酸」「ラウレス硫酸」などの表示があるシャンプーや、石けんシャンプーは洗浄力が高めです。一方、「ココイルグルタミン酸」「ラウロイルメチルアラニン」「ココイルメチルタウリン」などの表示があるものはアミノ酸系界面活性剤に分類され、洗浄力が比較的マイルドです。

皮脂を適度に残しながら洗い上げるシャンプーを使い続けることで、皮脂の過剰分泌も次第に落ち着いていきます。シャンプーを変えてすぐに変化するものではないので、中長期的に続けて様子をみましょう。

 

シャンプーは正しい手順で

シャンプーを選んだら、洗い方にもこだわりましょう。ちょっとした工夫で汚れをすっきり落とすことができますよ。

1. シャンプーの前に、38~40度のぬるま湯を頭皮全体に30秒ほど流す(予洗い)
2. シャンプーは両手のひらで軽く泡立ててから頭皮につける
3. 頭頂部に向かって頭皮を動かすイメージで、指の腹を使って全体をすみずみまで洗う
4. ぬるめのシャワーで、泡やぬめりがなくなるまでよくすすぐ
5. シャンプー後はタオルでよく水毛をふき取り、ドライヤーで根元から乾かす

あらかじめぬるま湯ですすぐことである程度の汚れが落ち、シャンプーの泡立ちもよくなります。頭皮には爪を立てず、指の腹でマッサージをするように洗いましょう。

べたつきがある場合でも、洗い過ぎないようシャンプーは1日1回に留めるようにしましょう。どうしても気になるときは、お湯だけですすぐ方法も取り入れてみてください。

 

頭皮の乾燥を防ぐ保湿ケアも

アミノ酸系のシャンプーに変えてもまだ頭皮の乾燥が気になる、頭皮表面が硬い…という場合は、保湿ケアも取り入れてみましょう。ヒアルロン酸Naやセラミド、植物エキスなどの保湿成分が配合された育毛剤やローション、トニックなどを清潔な頭皮になじませます。その際、軽いマッサージで頭皮の血行を促すのもよいでしょう。

 

内側からのケアも取り入れて

皮脂の多さは体質的な要因も考えられます。また前述したように、生活習慣や食生活の乱れ、ストレスの影響もあるでしょう。

皮脂を構成する成分のなかでも主要なのは、トリグリセリド(中性脂肪)です。動物性脂肪や糖質はトリグリセリドを増やすと考えられますので、食べ過ぎに気をつけましょう。一方、ビタミンB2やB6には、皮脂の分泌をコントロールする働きがあります。納豆や葉物野菜、カツオ・マグロ、バナナなどに多く含まれていますので、日々の食事に上手に取り入れましょう。

不規則な生活習慣は、ホルモンバランスの乱れを引き起こして皮脂を増やしかねません。夜はしっかり休む、朝は決まった時間に起きるなどして生活習慣を整えていきましょう。適度な運動や質の良い睡眠、リラックスする時間を持つことはストレス解消にもつながります。

 

頭皮の脂と上手に付き合おう

皮脂は汗と混ざり合い、天然のクリームとなって肌や頭皮表面を守る働きがあります。ただし、過剰に分泌されると清潔感を損なうばかりでなく、頭皮環境や育毛に悪い影響を与えることも。

皮脂を悪者扱いするのではなく、シャンプーや生活習慣を見直しながら上手にコントロールして、健やかな頭皮へと整えてみては。今回紹介した方法をぜひ試してみてください。

<参考文献>
[1]福田 實. 皮膚科学と化粧品, 色材 2001; 74(6): 308-316
[2]野村 浩一. メークアップ化粧料における皮脂コントロールの重要性とその対策, オレオサイエンス 2005; 5(10): 447-454

この記事の監修専門家
Crystal 医科歯科 Clinic International 医師
中島 由美
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