お風呂場の排水溝や枕に残る抜け毛…。抜け毛の量が増えたような気がして、ゆううつになることはありませんか?一口に抜け毛といっても、遺伝や体質だけでなく、毎日の生活の中にさまざまな原因が潜んでいます。抜け毛の原因とその予防対策を知って、健康的な髪と頭皮をキープしましょう。
髪の毛が抜ける原因
髪が抜ける原因はさまざまありますが、大きく「シャンプーなどの生活習慣」「季節変化」「AGAなどの脱毛症」に分けられます。
間違ったシャンプーの仕方を行っている
寿命を終えた髪の毛は、シャンプーのときに抜け落ちることがあります。これは「自然脱毛」と呼ばれるもので、シャンプーが直接の原因ではありません。ただし次のような間違ったシャンプーが原因で頭皮を傷つけてしまい、抜け毛を引き起こしている場合があります。
・シャンプーやコンディショナーのすすぎ不足
・爪を立てて洗っている
・ふけやかゆみを気にして1日に2回など、必要以上にシャンプーしている
・熱すぎるお湯で洗っている
シャンプーの仕方以外では、次のような生活習慣も抜け毛を招く原因になります。
・長期間に渡る過度なストレスや、睡眠不足による血行不良
・動物性脂肪の摂りすぎによる皮脂の過剰分泌
・無理なダイエットによる髪の栄養不足
・過度な喫煙による血行不良
・パーマやヘアカラーのしすぎによる頭皮ダメージ
一度に改善することは難しくても、できることから少しずつ見直していきましょう。
季節の変わり目の時期も抜け毛に注意
季節の変わり目になると、抜け毛が通常の2倍ほどに増えるともいわれています。「動物の体毛が抜け変わるメカニズムと同じ」という説もありますが、医学的根拠については解明されていません。季節の変わり目に抜け毛が増えるのは一時的なことなので、あまり神経質になる必要はないでしょう。
しかし季節の変わり目で生じる、生活環境や気温などの変化には注意が必要です。例えば春は、新生活が始まる時期。慣れない環境や人間関係で、ストレスがたまる場合があります。ストレスの影響で自律神経のバランスが崩れると、血行不良などの悪影響が現れます。頭皮に必要な栄養や酸素が届きにくい状態になり、頭皮環境が悪くなります。
夏は強い紫外線やエアコンによる乾燥が頭皮にダメージを与え、抜け毛につながりやすくなります。また汗を大量にかいたとき、すぐにシャワーなどで流さないと、細菌の繁殖などによってさらに頭皮環境が乱れやすくなります。
AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)
進行性の脱毛症であるAGAは、活性型男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン」が影響します。髪の毛乳頭細胞内の男性ホルモン受容体アンドロゲンレセプターに反応することで起こる、男性に多い脱毛症です。主に髪の生え際と、頭頂部の軟毛化を起こします。
FAGA(女性男性型脱毛症)は女性に発生する脱毛症です。髪全体に抜け毛が増えたり、細くなったりするのが特徴です。40代くらいの女性に多く、加齢によって女性ホルモンが減少し、男性ホルモンとのバランスが崩れることが影響します。
1日の抜け毛の本数はどのくらい?
髪には寿命があるため、どんな人であっても髪が抜けない日はありません。一般的に、特に抜け毛を気にしていない人でも1日に50~100本程度の抜け毛はあると言われています。抜け毛の量は季節によっても変化しており、秋は特に多めで1日に200本程度に増えることもあるので、過度の心配は必要ありません。
女性と男性の抜け毛の原因・症状は違う?
睡眠不足や栄養過多などの生活習慣の乱れ、間違ったシャンプーなどに関しては、男性にも女性にも共通する原因です。ただし女性は男性に比べてパーマやカラーを行う機会が多く、過度なダイエットによって髪の栄養不足になりやすい、といった特徴があります。
また男性の抜け毛は遺伝的な要因があるのに対して、女性の抜け毛はホルモンバランスの乱れによることが多いようです。女性ホルモンの分泌が減少する更年期になると、男性ホルモンが優位となり抜け毛が増える可能性が高くなります。
またAGA(男性型脱毛症)とFAGA(女性男性型脱毛症)の脱毛の現れ方には違いがあります。男性型脱毛症の場合は、生え際部分から後退していくように抜け毛が増えるのが特徴。FAGA(女性男性型脱毛症)は髪全体、もしくは頭頂部を中心に全体が薄くなっていきます。男性型のように部分的に薄くなることはあまりありません。
抜け毛対策に効果的なおすすめのセルフケア方法
手軽に始められるおすすめの抜け毛対策は、自分に合ったシャンプーを選び、正しい洗髪を行うこと。生活習慣の改善や髪にいい栄養素の摂取と合わせて行うと、より効果的です。
正しいシャンプー方法で抜け毛予防
自分の頭皮が乾燥しているのか、皮脂が多めなのか、頭皮の状態に合わせてシャンプーを選びましょう。皮脂には頭皮と髪を、紫外線や細菌などの刺激から守る働きがあるため、過剰に除きすぎるのはよくありません。
育毛を目指して頭皮の環境を整えるためには、洗浄力が強すぎないアミノ酸系シャンプーがおすすめです。また育毛シャンプーなど、頭皮をすこやかに保つ成分が配合されたシャンプーも効果的です。自分に合ったシャンプーを選んだら、間違った洗髪方法を改めて正しい洗髪を行いましょう。
まずシャンプー前の乾いた髪をブラッシングしておくと、汚れやふけが浮き上がり取れやすくなります。ワックスやムースなどの整髪料を髪につけている場合は、特に丁寧に行いましょう。また髪を洗う前に湯船に浸かっておくと、毛穴が開き皮脂や汚れが取れやすくなります。事前の準備が完了したら、次の方法と手順でシャンプーしていきます。
- シャワーを使い、40度前後のお湯で髪全体と頭皮を予洗いします。頭皮の余分な皮脂やホコリなどを流すつもりで、しっかりと行いましょう。
- シャンプー液を手のひらに適量取ったら、両手をこすり合わせて十分に泡立てます。直接シャンプー液を頭皮につけると、刺激になりやすいのでやめましょう。
- 泡を髪全体にのせたら、指の腹を使い、頭皮に優しく円を描くように揉み洗いします。髪の根元から指を差し込み、小刻みにマッサージすると効果的。頭皮の血行がよくなります。このとき爪を立てたり、頭皮を強くこすったりしないように注意してください。汚れがひどいときは、軽くすすいでから二度洗いします。
- シャワーを頭皮に当てながら、しっかりとシャンプー剤を洗い流しましょう。髪の根元から指を差し込み、すすぎ残しのないようにします。
- トリートメントやコンディショナーを毛先中心につけます。頭皮にはつけないように注意しましょう。よく髪になじませたら、シャワーで洗い流します。
洗髪後に髪を濡れたままにすると、頭皮に細菌が繁殖しやすくなります。タオルでしっかり水分を吸い取った後は、なるべく早くドライヤーで頭皮と髪を乾かしましょう。また正しいシャンプー方法でも、1日に2回以上洗髪するのはおすすめできません。
育毛効果が期待できる食べ物など食生活を見直す
抜け毛が気になる人は、ファストフードやインスタント食品、スナック菓子や甘いものを控えることが大切です。これらは脂質や糖質を多く含んでいるためです。脂質や糖質をとりすぎると、皮脂の過剰分泌を引き起こすことがあります。
抜け毛が気になってきたら、しっかり水分補給をして、高タンパクで低カロリーな食事を心がけましょう。髪の約95%はタンパク質でできており、タンパク質はケラチン、シスチン、メチオニンなどの必須アミノ酸が原料となって合成されています。その中でも髪の毛の生成に欠かすことができないケラチンはイオウを含んだタンパク質でできており、食品ではイオウを有する「含硫アミノ酸」を多く含むアジ、サバ、イワシ、サンマ、白身魚、ササミ、チーズ等乳製品、豆腐、納豆、大豆がお薦めです。
そのほか、健やかな髪を保つために効果的なミネラル・ビタミンなども積極的にとりましょう。特に亜鉛は、毛髪の主成分ケラチンの合成に重要な役割があります。亜鉛を多く含む食品は、豚レバー、ウナギ、生牡蠣、牛肉などです。亜鉛の働きをサポートしてくれるビタミンB6は、牛レバーやカツオ、マグロ、バナナなどに多く含まれています。
ただしこれらに偏ることなく、栄養バランスのとれた食事が大切です。
規則正しい生活習慣を送る
髪の成長を促すためには、十分な睡眠を取ることも必要です。また毎日寝る時間や起きる時間がバラバラだと、体内時計のリズムが乱れ、髪の成長を妨げます。なるべく時刻を一定させることを心がけましょう。さらに適度な運動を習慣にしておくと、寝つきがよくなったり、血行が良くなったり、ストレス発散にも役立ちます。
育毛剤でヘアサイクルを正常に保つ
育毛剤は、発毛剤のような医薬品ではないため、毛を生やす効果はありません。ただし、頭皮をすこやかに整え、薄毛や抜け毛を防いだり丈夫な髪を育てたりする効果があります。これらの効果が認められた有効成分が配合されている、「医薬部外品」の育毛剤を選ぶとよいでしょう。
まとめ
抜け毛の原因は人によってさまざまです。しかし、毎日のシャンプーを見直したり、育毛剤で頭皮環境を整えたりすることは、脱毛症による抜け毛であっても取り入れていきたい対策です。できることから少しずつ生活習慣を整えて、健やかな髪を育んでいいきましょう。
- この記事の監修専門家
- エステティシャン、スキンケアマイスター、毛髪診断士、サロンオーナー
山口 史恵