市販の育毛剤を使うことで、だれでも手軽に始めることができるようになった育毛。ですが、育毛剤には本当に効果があるのか不安に感じることもありますよね。一体どういったものが育毛に効果あると言えるのでしょうか?育毛剤と発毛剤の違いや使い分け方法、そして育毛剤以外での育毛方法や育毛する際に知っておきたいいくつかの知識についても紹介します。
育毛剤と発毛剤はどのように使い分ければよい?
医薬品の発毛剤と、医薬部外品の育毛剤。薬機法の観点からみても発毛剤と育毛剤には違いがあります。それぞれの特徴や効果を詳しくみていきます。
発毛剤(医薬品)
発毛剤には、発毛の効果が認められている成分が入っていて、育毛作用や抜け毛防止などの効果もあります。発毛剤は医薬品に分類されていて、すでに脱毛してしまった頭皮の毛根からの発毛効果を期待できます。医薬品ですので副作用の可能性を理解しながら、早く結果を出したい方におすすめです。
育毛剤(医薬部外品)
育毛剤はあくまで育毛促進、脱毛予防を目的にしている商品です。頭皮環境を整えて、健やかな髪を保つことが目的なので、発毛剤に配合されているような発毛効果がある有効成分は含まれていません。頭皮の毛母細胞の新陳代謝を活発にしたり、頭皮の血行を改善、保湿することで育毛環境を整えるなど、今生えている髪の毛を育てる働きがあります。副作用のリスクが少ないため、安心して始めたい方におすすめです。
薄毛の原因は、必ずしもAGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)だけによって引き起こされるわけではありません。生活習慣の乱れやストレスなど、どういう理由で薄毛や抜け毛が生じているのかをしっかりと見極めることが大切です。
男性と女性で育毛剤の配合成分が異なる?
意外かもしれませんが、育毛剤に関しては女性用も男性用もその成分はほとんど変わりがありません。そのため女性が男性用を、男性が女性用を使ってもさほど問題はないと言えます。しかし、発毛剤の場合は、男性用・女性用ではとても大きな違いがあります。間違った使用は絶対にしないようにして下さい。
育毛剤はAGAや薄毛、抜け毛に効果あるの?
育毛剤は頭皮トラブル(フケ・かゆみ・炎症など)などが原因でおこる脱毛を予防したり、保湿して頭皮環境を整えることで育毛をサポートしたりする効果があります。育毛剤ではAGA(男性型脱毛症)を治療することはできませんが、頭皮環境を整えて薄毛や抜け毛を予防するヘアケアとして使用できます。
育毛剤の副作用について
市販されている医薬部外品の育毛剤は、そもそも医薬品ではないので副作用がほとんど出ないように製造されています。ただし、体質に合わず皮膚にかゆみなどが生じてしまった場合には、すぐに使用を中止する必要があります。
一方、医薬品に分類されている市販の発毛剤には、頭痛やめまい・頭皮の発疹・手足のむくみなどの症状が副作用としてあらわれることもあるので注意しましょう。これは発毛効果がある有効成分のミノキシジルが原因とされていて、他にも多毛症や動悸などの症状が報告されています。
頭皮ケアでの育毛対策も取り入れよう
育毛剤以外で育毛によいとされている方法をいくつか紹介しましょう。ただし、これらのケアは発毛に直接関係するものではないので、過度な期待は持たず、頭皮環境をよくする目的で行うことが大切です。
頭皮マッサージ
頭皮マッサージは、頭皮の血行を促進したり、毛穴の皮脂や汚れを取れやすくしたりする効果があります。マッサージは洗髪時だけでなく、仕事の合間やテレビを見ているときなど、気が付いた時にちょっと行うこともおすすめです。
両手の親指以外の指を左右の生え際から耳の上辺りへ置き、親指は耳の後ろへ固定。親指はそのままで、爪を立てないように指の腹部分を使って押さえるようにしながら、円を描くように、マッサージしましょう。親指を少しずつ上へとずらしながら頭頂部へ向け繰り返します。1回3~4分、1日2回程度が効果的です。
頭皮マッサージで注意したいのが、こすらないこと。せっかく生えてきた髪の毛をすり切らせると本末転倒になります。「こする」のではなく「もむ」事を意識して行って下さい。
育毛シャンプーによるケア
薄毛や抜け毛の育毛対策では、育毛シャンプーの選び方と正しいシャンプーのやり方が大切です。
育毛シャンプーはその洗浄成分の違いによって種類が分かれています。一般的に安価販売されているのが高級(※)アルコール系シャンプーで、ラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Na、ラウレス硫酸アンモニウムなどが成分として配合されています。石けん系シャンプーはその名の通り、原料が石鹸成分でできているシャンプーです。この2つは洗浄力が高く、刺激も強い特徴があります。オイリー肌や、汗をよくかく方、頭皮がベタつきやすい方におすすめです。(※高級とは「価格が高い」という意味ではなく、単なる分子構造上の名称です。)
洗浄力が弱くなりますが頭皮や髪に優しく、刺激が少ないタイプがアミノ酸系シャンプーです。こちらは敏感肌やアレルギーの方にもおすすめです。まれにアミノ酸系でカユミを生じる方がいますが、その場合にはタウリン系、ベタイン系のシャンプーをお試しください。
また、育毛シャンプーはあくまで頭皮環境を整えるのが主な目的なので、発毛効果はありません。
ここからは、正しいシャンプーのやり方を紹介します。頭皮は皮脂や汗の分泌が盛んな部位。せっかくの育毛剤の効果を無駄にしないためにも、頭皮は清潔に保つように心がけましょう。
○シャンプー前にブラッシングする
シャンプーの前に乾いた髪を丁寧にブラッシングすることで、髪の絡みを取り除いてフケやほこりなどを取りやすくします。また、洗髪前に入浴を5分程度行うと皮脂汚れが取れやすいようです。
○シャワーで予洗いする
シャンプー時は予洗いがとても大切です。しっかりとすすぐだけで、汚れの7割程がとれると言われています。38~40度のぬるま湯で予洗いし、頭皮と髪の毛をしっかりと濡らしてからシャンプーを始めましょう。シャンプーでは、予洗いで落ちなかった汚れを落とす、という感覚を持ちましょう。
○シャンプーは泡立てて優しく洗う
適量のシャンプーをてのひらに取り、少量のお湯で溶かしてください。両手をこすり合わせてしっかりと泡立てたら、頭皮に泡をのせるようにして、頭皮全体を指の腹を使って小刻みにつかむようにマッサージしながら洗っていきます。シャンプーは髪を洗うというよりも「頭皮を洗う」という事を意識して下さい。シャンプーは泡でやさしく頭皮を洗う行為です。
○「すすぎ残し」がないようにしっかりとすすぐ
すすぐ時も38~40度のぬるま湯で、すすぎ残しがないように丁寧にシャンプー剤を流しましょう。特に耳の後ろや襟足などの髪の生え際にシャンプーの泡が残りやすいので、しっかり流すことを意識して下さい。
シャンプー後にトリートメントなどを使用する場合、トリートメント剤は頭皮には付けずに、髪の毛先~中間に使用します。もしも頭皮に付いてしまった場合はしっかりとすすいで下さい。特に髪が長い場合、毛先に残ったトリートメント剤が背中に当たり、背中ニキビの原因になる可能性があります。毛先のトリートメントは「流し過ぎず、残し過ぎず」のバランスが大事です。
また、洗髪が終わって頭皮を濡れたままにしていると雑菌などが繁殖してしまい、カユミやフケ、臭いの原因となる恐れがあります。タオルで水分を軽くとったら、ドライヤーなどで頭皮と髪をしっかりと乾かすことが大事です。
育毛効果を高めるために!髪のヘアサイクルを整える方法
正常なヘアサイクルを維持する事は育毛や発毛のためにもとても大事なことです。ヘアサイクルについてもきちんと理解しましょう。髪のヘアサイクルは、成長期(2~6年)・退行期(2~3週間)・休止期(3~4か月)の3つの段階があり、それが繰り返し行われています。
ヘアサイクルは生活習慣の乱れやストレスなど、何らかの原因により、乱れが起きることがあります。ヘアサイクルが乱れると、薄毛や抜け毛の原因になります。ヘアサイクルの乱れを整えるためには、毛母細胞を活性化するために髪の成長によいとされる栄養素(鶏のササミ、アジ、煮干し、大豆製品、チーズなど)を摂ることや、生活習慣の改善、適度な運動により血行を促進するなどを意識しましょう。それに合わせて育毛剤や発毛剤などを使用することが望ましいのです。
まとめ
抜け毛や薄毛対策の一つである、育毛剤や発毛剤の使用について説明しました。また、頭皮マッサージや正しいシャンプー方法なども取り入れていくことで、相乗効果も期待できます。生活習慣の改善など、自分に合った方法を見つけていきましょう。
- この記事の監修専門家
- スタイリスト 毛髪診断士
成瀬 文香