男性の薄毛・抜け毛にはさまざまな原因があります。
○AGA(男性型脱毛症)
○ストレス・紫外線などの外的刺激
○シャンプー選びや間違った洗髪方法
○脂漏性皮膚炎などの頭皮疾患や遺伝
それぞれ原因別の特徴とセルフチェックの仕方、育毛対策の方法などをみていきましょう。
男性の薄毛・抜け毛の原因
男性の薄毛や抜け毛は、AGA(男性型脱毛症)や遺伝、生活習慣の影響や疾患によるものなど、さまざまな原因が考えられます。
ヘアサイクル(毛周期)が乱れることで、髪の毛はきちんと成長できなくなります。細くて柔らかい産毛のような髪の毛になってしまったり、髪の毛が抜けてしまったりするのです。
AGA(男性型脱毛症)
ヘアサイクル(毛周期)は、2~6年の成長期のあと、2週間程度の退行期、そして3~4カ月の休止期を経て自然と抜け、また成長期から繰り返します。
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響によって、ヘアサイクルが短くなったり繰り返されなかったりするために起こる、抜け毛や薄毛のこと。AGAに関連するホルモンにDHT(ジヒドロテストステロン)があります。このDHTが、毛乳頭細胞内にある男性ホルモン受容体と結合すると、ヘアサイクルを乱します。成長期が短縮し、髪の成長がうまく行われなくなることで、成長が未熟な状態の発毛となり、薄毛や抜け毛の原因となります。
生活習慣の乱れ
抜け毛や薄毛の原因として、過度なダイエットや栄養バランスの悪い偏った食生活も考えられます。頭皮の健康や発毛に必要な栄養が不足してしまうのです。
○ストレス
○夜更かしなどによる睡眠不足
○生活習慣の乱れ
これらの影響で、髪に十分な栄養がきちんと届いていない場合もあります。育毛のためには栄養バランスのよい食事と、規則正しい生活を送り、ストレスをうまく解消する方法を見つけ、頭皮や発毛に必要な栄養分をしっかり届けることが大切です。
間違ったヘアケア
髪の洗いすぎはよくありません。必要な皮脂を洗い流すことによって、頭皮のバリア機能が弱まり、外的刺激を受けやすい状態になってしまうので注意しましょう。
洗髪の後、髪が濡れたままでいると、頭皮が蒸れ、菌が繁殖しやすい環境になります。ドライヤーを使って乾かすようにしましょう。
ストレス
過度のストレスは血行不良を招きます。血管収縮により、血流が滞り栄養が行き渡らなくなってしまうことで、発毛にも影響を与えてしまいます。
また、ホルモンバランスが乱れ、成長ホルモンの分泌がうまくいかなくなることで、薄毛・抜け毛の原因になることも考えられます。
脂漏性皮膚炎など頭皮の疾患
頭皮に角質のかたまりが張り付いたり、大きいフケがでたりする場合は「脂漏性皮膚炎」の疑いがあります。カビの一種である「マラセチア」という常在菌が引き起こす、皮膚炎の一種です。皮脂を栄養分として、皮脂分泌の多い場所におこりやすいです。
他にも接触性皮膚炎などの病気が原因の抜け毛もあります。
紫外線などによる頭部の刺激
紫外線を多く浴びることで頭皮の乾燥が進み、光老化を招きます。帽子を着用したり、ヘア用のスプレータイプの日焼け止めを使ったりして、紫外線から頭皮を守りましょう。
遺伝
AGAに関連するDHT(ジヒドロテストステロン)は、男性ホルモンであるテストステロンが、5αリダクターゼ(還元酵素)と結びつき変化したものです。このDHTが毛乳頭細胞内にあるアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)と結合して、ヘアサイクルを乱しAGAになります。
DHTと結合しやすい、感受性の高いアンドロゲンレセプターの遺伝子を受け継ぐことで、薄毛は遺伝します。また染色体の特性上、自分の母方の父親が薄毛の場合、その遺伝子を受け継ぐ可能性があります。
あなたは大丈夫?今すぐできるセルフチェック
様々な気になる髪の悩みに迷っているならまず、セルフチェックしてみましょう。
○シャンプーのとき、抜け毛の量が増えた
○家族や親族に薄毛の人がいる
○生え際が後退した気がする
○産毛っぽい細くて短い髪が増えた
○以前に比べて抜け毛が増えている
○髪にハリやコシがなくなってきた
○髪のボリュームが減ってきた
○部分的に以前より薄くなった
○頭皮の乾燥が気になる
○べたつきが気になる
これらのチェックが一つでも当てはまったら薄毛対策を行うことをおすすめします。
男性の薄毛・抜け毛を改善する対策
一日の抜け毛の本数は季節により変動しますが、通常は50~100本程度抜けるのが正常といわれています。ヘアサイクルによって、自然と抜け落ちる毛なので問題ありません。しかしそれ以上に多く感じる抜け毛は心配でしょう。セルフケアの方法を紹介します。
頭皮にやさしいシャンプーを選ぶ
薄毛・育毛効果に直接的に作用するシャンプーはありません。しかし頭皮環境を清潔に保つことで、結果として薄毛予防につながるでしょう。
薄毛が気になる方におすすめなのは、アミノ酸系シャンプーです。頭皮に優しい成分が使われています。
高級アルコール系シャンプーの多くに含まれている、ラウリル硫酸ナトリウムやラウレス硫酸ナトリウムは、洗浄力が高く刺激も強めです。頭皮の乾燥が気になる方は、これらのシャンプーは避けたほうがいいでしょう。場合によっては、必要な皮脂まで奪われてしまい、頭皮がさらに乾燥してしまうことがあります。
ノンシリコンシャンプーも髪によさそうですが、シリコンが入っていないだけで、その成分はさまざま。シャンプーを選ぶ際には、成分表示をしっかりと確認してから、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
薄毛・抜け毛の改善が期待できる食べ物
肉や魚などの動物性タンパク質、大豆製品などの植物性タンパク質を積極的に取りましょう。豚肉、レバー、牡蠣などに多く含まれる亜鉛や、緑黄色野菜などに多く含まれるビタミンB群は、アミノ酸の合成をサポートしてくれるので、積極的に取るように心がけましょう。
適度な運動を毎日続ける
適度な運動を生活に取り入れるようにすると、筋肉の緊張がほぐれて、血液の流れがよくなってきます。ウォーキングや水泳、自宅でストレッチやヨガなどを行ってみましょう。
無理せず続けられるものを、30分~1時間程度でよいので行うように心がけます。激しい運動は、体内の活性酸素を増やしてしまい、細胞の老化につながる可能性もあり、逆効果になりかねませんので注意が必要です。
生活習慣を見直す
喫煙により血管収縮が起こります。血流が悪くなることで、頭皮に必要な栄養素が十分に届かなくなり、健やかな発毛を妨げ、抜け毛や薄毛の原因に。禁煙をするか、喫煙量を控えめにすることが大切です。糖分を多く含むアルコールの過剰な飲酒は、皮脂の過剰分泌を引き起こします。
またアルコールを肝臓で分解する際に、シスチンが消費されてしまいます。シスチンはアミノ酸の一つで髪の毛を作る材料でもあります。大量のアルコール摂取により、頭皮や頭髪の健康を保つことができなくなります。
育毛剤で頭皮環境を整える
育毛剤は、発毛剤のような医薬品ではないため、毛を生やす効果はありません。ただし、頭皮をすこやかに整え、薄毛や抜け毛を防いだり丈夫な髪を育てたりする効果があります。これらの効果が認められた有効成分が配合されている、「医薬部外品」の育毛剤を選ぶとよいでしょう。
血行促進が期待できる頭皮マッサージをする
頭皮マッサージは血流を促進します。血行不良による抜け毛や薄毛におすすめです。セルフで行う頭皮マッサージの方法を紹介します。
○1指の腹を使い、頭皮全体をつかむように、ゆっくりと優しく揉んでいきます
○2前髪の生え際部分に沿って頭皮を引き上げ、同様に側頭部から頭頂部へと移動させます
○3指先でトントンとリズムを取って、頭皮全体を軽めに叩きます
○4最後は襟足のくぼみに2本の指を置いたら、顎をゆっくりと上下させます
まとめ
男性の薄毛や抜け毛の原因はさまざまですが、健やかで清潔な頭皮環境を保つことが重要です。
○育毛しやすい頭皮環境を整える
○栄養バランスを意識した食事を心がける
○ストレス解消など生活習慣の改善を行う
サプリメントや育毛剤などを使用する際には、どちらも薬ではないので、過度な期待をしすぎないようにしましょう。
- この記事の監修ドクター
- 吉井クリニック 院長
吉井 友季子