家族の世話などで誰かの頭皮を間近で見たときに、髪の根元に白や黄色の塊が付着しているのを発見したことはありませんか?よく鼻などに「角栓」ができることがありますが、頭皮の毛穴にもできることがあるのでしょうか。角栓だったときのケア方法とあわせ、他の物質の可能性についても紹介します。
角栓ってどういうもの?
角栓とは、皮脂腺から分泌された皮脂や周囲の角質が毛穴の中で凝固・発達したもの。これが増えると毛穴に詰まって目立ったり、うぶ毛を巻き込み黒ずんで見えたりすることがあります。
鼻など皮脂分泌の盛んな部位にできるイメージですが、頭皮も皮脂腺が多いため、角栓ができる可能性があります。
なぜ角栓ができるのか、その詳しいメカニズムはまだ明らかになっていません。一般的にはターンオーバー(肌の生まれ変わり)のサイクルが乱れているときに、毛穴の中ではがれた角質と脂質が結びつき、次第に成長すると考えられています。
ターンオーバーのサイクルが乱れる原因としては、皮脂の組成変化や紫外線の関与、生活習慣の乱れやストレスなどが考えられます、また、肌や頭皮にDHTが多く存在すると角栓が増えて毛穴が目立つことから、男性ホルモンの影響も指摘されています。
頭皮の角栓が気になったときのケアの仕方は?
顔に角栓を見つけたとき、指で圧迫して押し出す、ピンセットや爪先などでほじくりだすなどの行動をした人もいるのでは?実は、こうした行為はおすすめできません。肌や頭皮を傷つけることはもちろん、雑菌が入り込んで炎症を起こすおそれがあるからです。また一時的に角栓が取れても、またすぐに再生してしまいます。
毛髪で覆われた頭皮の角栓除去は、適切な頻度(1日1回まで)でシャンプーを行って清潔に保つこと、頭皮のうるおいを守ること、過度な刺激を与えないことが大切です。基本的なシャンプーの仕方も押さえておきましょう。
1. ぬるま湯で頭皮をよくすすぐ(予洗い)
2. シャンプーは手のひらで泡立ててから頭皮につける
3. 指の腹で地肌をマッサージするように洗う
4. すすぎ残しがないよう時間をかけて丁寧に流す
5. 清潔なタオルで水気をよく取り、ドライヤーで根元から乾かす
「頭皮が固い」「乾燥している」という場合、うるおいを残しながら洗い上げるタイプのシャンプーに切り替えてみるのもよいでしょう。
シャンプーの選び方
シャンプーには洗浄成分として界面活性剤が配合されており、界面活性剤の種類によって洗浄力が決まります。
界面活性剤は多くの種類が存在し、種類によって洗浄力はさまざまです。そして、洗浄力が強い成分は頭皮の乾燥を招いてしまいます。特に、成分表示に記載されている成分名に「石けん」とつくものは脱脂力が強めです。「~硫酸」がつく高級アルコール系界面活性剤を配合したタイプも洗浄力が強いので避けたほうがよいでしょう。
名前に「~グルタミン酸」「~アスパラギン酸」「~アラニン」などがつくアミノ酸系界面活性剤や、「~ベタイン」がつくベタイン系界面活性剤などは、洗浄力がマイルドです。商品パッケージの裏面にある成分表示を確認してみてください。
その他にも、シャンプーを選ぶ際は「頭皮にうるおいを与える」保湿成分を多く配合しているかどうかも目安になります。
頭皮用化粧品を活用する
頭皮の乾燥を防ぐために、洗髪後に頭皮を整える化粧品を活用するのもよいでしょう。製品によりますが、保湿効果のあるヘアトニック・ローションがあります。
生活習慣の見直しも
食生活では野菜を多めに摂取し、脂肪分は抑えてバランスよく。栄養面では肌をつくる材料となるタンパク質、肌を健やかに保つビタミンAやビタミンC、皮脂の分泌量をコントロールするビタミンB群などを意識して摂りましょう。
睡眠中は成長ホルモンの分泌が活発になり、ターンオーバーが促されます。毎日、決まった時間にベッドに入り、決まった時間に起床して体内時計を整えていくようにしましょう。快眠や代謝アップ、ストレス解消などに役立つ適度な運動の習慣も、ぜひ取り入れて欲しいものです。
角栓以外の物質の可能性もある?
頭皮に付着するのは、角栓ばかりとは限りません。以下のような物質の可能性もありますので、注意深く観察してみましょう。
ヘアキャスト
毛髪にストローの包み紙のような白い管状の物体がまとわりつき、指で上下に動かせる場合はヘアキャストの可能性があります。
毛髪は頭皮のなかで、毛包や毛根鞘(もうこんしょう)に包まれて育ちます。外から強く引っぱると、毛根鞘の一部がちぎれて外に出てきてしまうことがあるのです。
ヘアキャストの発生を抑えるには、髪を強くひっぱらないことが一番。洗髪やブラッシングの際は、力任せに行わないよう気をつけましょう。
スプレーのかす
スプレータイプのスタイリング剤を使っているときに、その成分がヘアキャスト同様、毛髪を取り囲むように付着することがあります。付着していても問題はありませんが、気になる場合は丁寧に洗うか、市販のエタノールで拭き取るとよいでしょう。
アタマジラミ
子どもに多いのですが、アタマジラミが発生している可能性もあります。現代でも海外旅行で感染するケース、保育園や幼稚園、小学校で集団発生し、そこから家庭に持ち込まれるケースなどがあります。
毛髪にシラミの卵を産み付けられると、櫛ですいたり爪でしごいたりしても除去できません。また孵化して繁殖すると、激しいかゆみを覚えることがあります。
ホームケアでは卵が孵化する時期を見計らって、10日間ほどしっかり洗髪しましょう。毛髪だけ薬局やドラッグストアで購入できる駆除用シャンプーやパウダーを使う方法もあります。頭皮が触れた枕カバーやシーツ、タオルは毎日交換し、60度以上のお湯に5分以上つけてから洗いましょう。衣類乾燥機やアイロンで熱を加えるのも効果的です。
角栓は気にしすぎず、適切な頭皮ケアを心がけよう
角栓は顔のみならず、頭皮にもできる可能性があるもの。無理にほじくりだそうとしたり、気にしてずっと触り続けたりすると、雑菌が入り込んで炎症などの頭皮トラブルに発展するおそれも。日頃からシャンプーや保湿ケアを適切に行い、頭皮環境に整えていきましょう。
- この記事の監修ドクター
- 吉井クリニック 院長
吉井 友季子